はこやすみ

ハコや小屋のすみっこにて

慣れると忘れがちなあれこれ

慣れというものは仕事や学業だけでなく趣味においても大切だ。慣れれば平気になることは沢山ある。しかし、裏を返せば慣れないとわからないことだって沢山ある。

ライブに頻繁に通っていたり、頻繁にスケジュール等の動向をチェックしたりすると忘れがちだが、「初めてライブに行ってみたい」「久しぶりにライブに行ってみよう」と寄席の通常公演以外のライブ、特に特定の出演者が見たい場合なんていうのは、最初の一歩を踏み出すことが意外と難しい環境なのではないだろうか。 

閉鎖的な環境

お笑いブーム全盛期も過ぎ去り、ネタ番組も次々終了し、頻繁にネタを観るにはライブに行くことが必須条件となっている現状。毎日のように様々なライブが開催されているが、会場は最大収容人数の少ない小さなライブハウスや劇場が多い。一般的なプレイガイドで取り扱いのないライブも多く、所属事務所独自のチケットサイトやメール予約、イベント主催団体へのメール予約、TwitterSNSでの予約(「置きチケ」)など、1つのジャンルとは思えないほど様々なチケットの販売パターンがある。そんな環境でライブの告知は劇場そのもののサイトか出演者のSNS(特にTwitter)のみである場合が多い。テレビである程度知名度のあるような芸人ですら、SNSでの告知・チケット予約の受付のみのライブを打つことが少なからずある。ファンですらライブの存在を知らず、後日知人との会話などでその存在を知るなんていう事態にも度々に遭遇する。もったいない話だ。

立地の問題

「わかりづらいなんて言ってもだいたい新宿・下北沢・渋谷でしょ?」という声が聞こえてきそうだが、そうこともファンになってみないとわからない。一個人的な意見として「夜の渋谷や歌舞伎町で迷子になる可能性がある」なんてことは本当に怖い。深夜は正直今でも緊張する。きっと未成年の皆さんなんてもっと怖い、はず。歌舞伎町なんて一生無縁の場所と思っていたような人間だって少なくないと思う。

よしもとに限って言えば、「新しく劇場ができるらしいけどまだ建物もないし行き方すらよくわからない」なんてことが頻繁に起こる。

また、客席数の少ない劇場を使うことも多いため「地図を見て来たもののこの建物のどこにそんな場所が存在するのか」なんていう不安にかられることもよくある。本当によくある。なんなら出演者が道に迷っているのを見かけるなんてこともよくある。

そうしてやっとたどり着いた劇場周辺も、最寄り駅のロッカーが1箇所しかない、周りに居酒屋ばかりでまだ開いている店がない、発券できるコンビニがあったはずなのに違うチェーン店になっていた、なんてことはざらにある。

ブームの衰退と環境の変化

直近のお笑いブーム真っ只中の時代は、mixi全盛期でもあったように思う。所謂ヲタ友などおらず周囲から得られる情報などない私のような人間にとってmixiは情報収集の要だった。利点は様々あったが、とにかくコミュニティさえ存在すれば目的の情報にたどり着くことが簡単だったのだ。Twitter等のSNSに登録していないと情報が得にくい点は現在と同じだが、リアルタイム性の高いTwitterと違ってmixiは過去に提供された情報も手に入れやすかった。

 

前述のとおり、チケット入手方法がわかりづらいかったり、ライブ名だけではライブ内容が全くわからないライブがあったり、なおかつ簡単に過去の情報を得にくいとなると、「少し興味あるし一人でも行ってみようかなぁ」といった気持ちでは訪れにくいだろう。誰かにライブを勧める際は、概要だけでなく立地やチケット入手方法などなるべく詳細に伝えてみてはいかがだろうか。

普段慣れ親しんだライブハウスや劇場も、外から見ると「一見さんお断り」になってしまっているかも知れないということを、今一度頭の片隅に留めておいていただけたらと思う。と同時に、初めてライブに行ったあの時の気持ちを時折思い出してみてほしい。

はじめに

「もっと気軽にライブに足を運んで欲しい」

それがこのブログを始めた動機で、それ以上でもそれ以下でもない。

はっきり言って私の交友関係は狭く、ファン仲間も少ないと思う。人を巻き込めるような勢いやカリスマ性を持っているわけでもなければ、プレゼン力など皆無に等しい。ヲタ仲間を増やす広報活動、所謂「布教活動」というものが不得意だ。成功した試しがない。

そうして、お笑いファン歴と僅かな経験値だけが他に発揮される場もなく蓄積されていく。

しかし、そんな私でも興味を持ってくれた知人にライブを勧めることが稀にある。自分自身もなんとなく興味があるから程度の理由でライブに行こうとすることもある。そんな時にふと慣れ親しんだはずの環境に不便さや閉塞感を感じる。
(その点についてはリンク先の記事にて)

hym.hatenablog.com

「観たかったら自分で調べて来ればいい。」そういう考えの方も多いと思う。
しかし、ここ数年の解散ラッシュや実際の集客を見ていると、「みなさんの実力を信じています!」*1なんて言っていられない現状が今のお笑いライブシーンにはあるような気がする。

誰かをライブに誘ったり勧める場合も、小さなきっかけだけで自分からいろんな世界に飛び込んでみようなんて考えの人ばかりではない。日常生活の中でも「予定の詳細の提示を待つだけ」というタイプは周りに少なからずいるだろう。だからといって「ゴリ推しされすぎると引いてしまってかえって興味がなくなる」なんていう天邪鬼な人もいる。(というか、自分がそのタイプだから人にゴリ推しできない。)

そんなことを一人ぐるぐると考えていた時に出会ったのが、所謂ジャニヲタのみなさんのブログだ。

私の周りにはお笑いから別ジャンルに流れてしまったり、比重をそちら側においてしまった方も多い。その中でもジャニーズ界隈に流れた知人がRT等で紹介する記事は、愛に溢れている上に単純に読み応えのあるものが多かった。レポや感想以外にも自分自身の遠征記やヲタ活に便利なサイトについての記事など、多種多様な記事が存在した。ヲタにならないまでも、単純に以前よりも興味が湧いた。

今まであった「ファンブログ=ライブレポ」という自分の中の概念を覆された。それと同時に何故お笑い界隈ではファン数の違いはあるとはいえ、ライブの内容以外に触れられることが少ないのだろうという思いにたどり着いた。単純にあのプレゼン力・情報共有への意欲はどのジャンルのファンにも必要だと思った。

自分の為、他人に勧めるため、どちらにしてもライブ会場に足を運ぶ上で「情報を手に入れやすい環境」というのは非常に心強いものだ。彼女たちのような情熱や技術はない自分のほんの僅かな経験値と拙い文章で構成されるこのブログが、ライブに興味を持った誰かにとって一歩踏み出すきっかけの一つになれればいいなと思う。

同時に、もっとお笑いに関するサイト・ブログが増えればいいなと心から願っている。本当に心から。

 

お題「ブログをはじめたきっかけ」

*1:AGEAGELIVE時代、配信時間の都合上告知ができない際に博多大吉さんがよく仰っていた台詞。